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サワサワ…
紅葉が、夜風に靡く。
「…………そう、」
レクシアの返しは、それだけだった。
「アンタの本音、聞けて良かったわ。」
「だから、私はアイツを悲しませたくない。」
と、予想外の言葉が返ってきた。
「それってー…」
「アレンの時もそう、私がいたからアレンは自分を犠牲にした。今だってそう。」
本当に、レクシアの言った通りリサは自分に嘘をつくのが上手だ。
「恐らく近々デカいヤマ《戦争》が始まる、その時私が必ず大輔の枷になる時が来る、それが堪らなく怖い…」
「そんなの、分からない…」
「分かるよ。」
今日一番のキレのある声だった。
「アイツは、大切な物を守る為なら、例え自分の命だって簡単に捨てれるヤツよ、アンタだってそれは分かるでしょ。」
「……………。」
今度は、レクシアが何も言い返せなかった。
「だから、私はアイツの枷になりたくない、アイツの大切な物に、私はなりたくない。」
ギュ、と服を握った。
「私にとって、アイツは大切な物だから、守りたい物だから。」
「…本当、可哀想な人ね、アンタ。」
「フフ、褒め言葉として受け取るわ。」
リサの微笑みは、少し病的だった。
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