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「それだけ大輔の事が好きなのに、信頼はしてないんだ?」
「!!」
一瞬、胸を蹴破られた様な感覚に陥った。
「大輔は強いわよ、アンタが思っている以上に、なんて言ったって私を倒したんだから。」
「…シレッと唯我独尊ね。」
リサのツッコミは受け流し、
「もし、アンタがまだ大輔を想う気持ちが強くあるのなら、少しは信じてみてもイイんじゃないの?」
「………………。」
また、何も言い返せなくなった。
「あの貴族会でも有名な‘‘氷の女”リサ・アストラル・ウェンディが惚れた男でしょう?大輔は中々のタマと思うわよ?私はね。」
「……………。」
そしておきまりの一貫してダンマリ。
「…アンタに、何が分かんのよ。」
「分からないわよ、自分にウソばっかりついてるヤツの心情なんて分かりたくもない。」
ニヤニヤと笑っているのが声色で分かったが、あえて顔は見なかった。
「…ま、後悔しないようにしなさいよ。」
「あ。」
カララ、
レクシアはそう言って強引に話を終わらせ、部屋へと戻って行った。
『おーレクシアー!何か歌えよ!何歌う何歌う?』
『そうね、じゃあ天城越えを…』
『まさかの演歌!!!!』
テラスから見る、大輔の顔は、何故か直視出来なかった。
「何よ、悟った風な言い方して…」
ギ、とテラスを鳴らした。
「じゃあ、どうすれば良いのよ…アンタのアドバイスなんて頼りにならないわよ。」
ふと見上げた夜空は、曇っていた。
「アンタだって、自分にウソつくの、上手じゃん。」
その言葉は、フワフワと夜陰に紛れて消えた。
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