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ー…
黄金が、広がっていた
『やぁ、また会ったな?預言ノ仔。』
…あれ、俺、何やってたんだっけ?
見渡し、広がる黄金の空間。足が地に着いているのかも、上を向いているのか下を向いているのかも分からない。
「…誰、ですか?」
何で敬語だよ俺、
『はは、悪い悪い。まぁ名乗る程の者じゃねぇよ、ただの通りすがりのガキと思ってくれ。』
聞けば、確かに幼さの残る男の声は、それでもどこか威厳だった。
『…派手にやったみたいだな、だいぶ侵食進んでるぜ?お前の身体。』
「え?それって、テフヌトの事?」
『あぁ、今回の暴走がド派手過ぎた。80%位いっちまってるよ、完全憑出まで時間の問題だな。』
ザワ、と心臓の毛が逆立つ感覚を覚えた。
「…俺は、あれから、どうなった?」
アレンがあの場から消えて居なくなって、そこから記憶が曖昧だ。
『安心しろ、怜香ってヤツもリサってヤツも、2人共生きてるよ、無事だ。』
「!!」
恥ずかしい位に目を見開いてしまった。
「良かった、本当に良かった…!!」
恥ずかし気もなく喜んだ、だって、死んだと思ってたから。
『まぁ、後はお前が‘‘戻れるか”どうかの話だがな?』
「…ぇ?」
『お前、いま本当にやばいぜ?生きるか死ぬかの瀬戸際だよ。ったく、学生のクセしてどんだけ危険な橋渡るわけ?』
何だか親近感の湧く口調に、俺は返した。
「そ、それって…」
『イイから、今からは生きて帰る事だけを願って寝ときな。』
ハードボイルドに、男の声はそれで途切れた。
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