1人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーー※ーーー
「ええっ!なんで!?」
私は立て札の前で、そう奇声に近い叫び声を上げた。
いつも通りに寝坊して、いつも通りにギリギリに家を出て、いつも通りに口にパンくわえて、いつも通りに全力で高校への道のりを失踪していた私。
丘を越え坂を下り、商店街を駆け抜け電車を乗り継ぎ。なんとか始業時間ギリギリには間に合いそうだと、汗を額に浮かべながらそんなことを思っていた矢先のことである。
ラスボスとも言える、高校を目前にしての中級河川に掛かる全長100メートルの橋。
待っていたのは、
「工事中につきこのはしは渡ることができません」
という立て看板だった。
私は真っ青になった。
昨日同じ時間に渡ったときには、こんな立て看板はなかったし、今も一見して特に橋に壊れている様子はない。立て看板以外は、例えばフェンスが設置されているわけでもないし、警備員が立っているわけでもない。
ただ「このはしわたるな」の看板がたっているだけなのである。
「そんな………どうして………」
口は思いがけずそんなことばを発していたが、
私の心の声はむしろ既に「どうやってこの川を越えるか」ということにシフトし始めていた。
最初のコメントを投稿しよう!