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と、ところが、私の体は二歩進んだところでそれ以上前に進まなくなった。
「ふぎゃ?!」
何者かに首根っこを捕まれて、首を絞められたような格好になった私は、自分でも不思議な声を上げてその場でムーンウォークを始めた。
「あれ?!あれあれあれ!??」
ーーー何で?!見つかった?!捕まった!?
さっきのなん十倍もの焦燥が私の身を爆発的に焦がした。必死すぎて後ろに人がいるのにも気づかなかったのだろうか。
「おい、お前何するつもりだ。
この看板見えないのか?
はしわたるなって書いてあるだろうが」
そんな深みのあるドスのきいた声が頭の上から聞こえて、私の心臓はマイナス100度の真夏の果実になる。
「あわわわわわわごめんなさいつい出来心、いやいやいや違っ、その、えーと、あれ、はしがダメなら真ん中を」
「あ?そんな言い訳が通用すると思ってんのかお前」
あきれ混じりのドス声。
一体どんなやつがしゃべってるのか、顔も見えないけど男ということだけは定か。
「うわわわわわごめんなさいごめんなさい!!違うんです、そこの学校に!今日遅刻したら!試験が!だから!」
「試験……お前もか…………。」
「えっ?」
ドス声があまりに意外な言葉を発したところで、ようやく首根っこは解放され、私の足は重力を得た。
ゴホゴホと噎せながら、私はそのドス声の主が一体何者なのかを確認するために、後ろを降りあおぐ。
すると、そこにいたのは男だった。私と同じ學校の服を身にまといて金色の野に降り立つべし
失われし大地との絆を治しついに人々を蒼き清浄の地に導かん風の谷のナウシカ!
しかしその顔の作りや表情は逆光のために全くわからなかった。ただひとつだけわかることと言えば、
太陽の光に充てられて本当に金色に輝く丸い頭ーーーー
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