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俺は仲川 勇人。
高校1年生にして身長182㎝、スポーツ万能。
サッカー部の次期エースとして期待されている。
勉強は・・・聞かないでくれ。
自分で言うのもなんだが、かなりモテる。
俺は自分の顔が好きだ。
いや、ナルではないよ。
高い鼻、キリリとした眉、二重の目、綺麗な歯並び。
どこを取っても完璧なのだよ。
今日も洗面所の鏡の前で、髪をセットしながら顔もチェック。
よし、完璧。
それが終わると、眼鏡をかけて、準備オッケー。
俺は眼鏡をかけているが、視力は両目とも2.0だ。
だからこれは伊達眼鏡。
だって眼鏡をかけてた方が賢く見えるだろ。
「勇人ー!愛美ちゃんが迎えに来てるわよ。」
俺は慌てて家を出る。
玄関に出ると、愛美が俺を待っていた。
今野 愛美とは家が隣通しで、いわゆる幼馴染みというやつだ。
だが、小さい頃に結婚の約束もしてるし、婚約者と言ってもいいかも。
愛美は誰が見ても美少女だし、俺に釣り合うのは彼女だけだと思っている。
「勇ちゃん、おはよう。」
「あぁ、おはよう。」
軽く挨拶を交わしながら、今日も可愛いなと思う。
俺と愛美は同じ学校に通っている。
実は愛美の志望校を聞いて、必死に勉強したかいあって同じ学校に通えている。
行き先が同じ為、いや、俺に会いたいが為に毎日迎えに来てくれてるに違いない。
連れ立って歩いてると、愛美が口を開いた。
「勇ちゃん、私ね、好きな人が出来た。」
寝耳に水とはまさにこの事。
俺は耳を疑った。
「1つ上の先輩なんだけどね、すごくかっこいいの。」
愛美は嬉しそうに話している。
「ちょっと待て。お前が好きなのは俺じゃないのか?」
「勇ちゃん、何言ってるの?」
「だって、毎日一緒に登校してるし、結婚の約束だってしてるじゃないか。」
愛美は呆れたという顔をしている。
「それはおばさんに頼まれてるからだし、子供の頃の話でしょ。」
そうなのか・・・愛美は俺を好きではないのか。
俺の一人相撲・・・。
俺はその場にくずおれた。
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