仲川 勇人

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愛美が好きなのは、製菓部の五十嵐とかいう奴らしい。 男のくせに菓子なんかを作っている軟弱者のどこがいいんだ。 男はスポーツに打ち込んでなんぼだろ。 俺のように。 一目顔を見てやろうと、製菓部の窓越しに、中が見える位置にスタンバイ。 木に隠れるようにして、中を覗く。 旗から見たら、さぞ滑稽に映ることだろう。 遠巻きに俺を見ている人々の視線が痛い。 しかし、この時の俺はそんな事を考えている余裕はなかった。 愛美を奪われた事により、完全に冷静さを欠いていた。 それにしても、この部は美女が多いな。 いつの間にか鼻の下が延びている。 おっと、いけない、いけない。 俺は愛美一筋。 浮気などしない。 暫くすると、部室に愛美が現れた。 なんと、男と腕を組んでいる。 そいつが五十嵐とかいう男か。 ・・・俺はそいつの顔を見て、絶句した。 そいつは男の俺から見ても男前だった。
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