228人が本棚に入れています
本棚に追加
愛美が好きなのは、製菓部の五十嵐とかいう奴らしい。
男のくせに菓子なんかを作っている軟弱者のどこがいいんだ。
男はスポーツに打ち込んでなんぼだろ。
俺のように。
一目顔を見てやろうと、製菓部の窓越しに、中が見える位置にスタンバイ。
木に隠れるようにして、中を覗く。
旗から見たら、さぞ滑稽に映ることだろう。
遠巻きに俺を見ている人々の視線が痛い。
しかし、この時の俺はそんな事を考えている余裕はなかった。
愛美を奪われた事により、完全に冷静さを欠いていた。
それにしても、この部は美女が多いな。
いつの間にか鼻の下が延びている。
おっと、いけない、いけない。
俺は愛美一筋。
浮気などしない。
暫くすると、部室に愛美が現れた。
なんと、男と腕を組んでいる。
そいつが五十嵐とかいう男か。
・・・俺はそいつの顔を見て、絶句した。
そいつは男の俺から見ても男前だった。
最初のコメントを投稿しよう!