変態は変態を呼ぶ?

3/10
前へ
/337ページ
次へ
「そうそう、高城先輩がまた探してたわよ。」 ・・・またか。 すると、遠くの方から声が近付いて来た。 「い~が~ら~し~」 「噂をすれば影ね。」 他人事といった感じだ。 声の主は私の姿を捉えると、一直線に私目掛けて走って来た。 そして私の肩をガッチリ掴んだ。 「今日こそは、我がバスケ部に入ってもらうぞ!」 彼は高城孝、ひとつ上の先輩だ。 がっしりとした体格で、バスケ部というより、柔道着の方がよく似合うと私は思っている。 「だから断ってるじゃないですか。」 正直うんざりだ。 「君の身長と運動神経は我がバスケ部で活かされるべきだ。」 人の話し聞いてるのかなこの人。 だ~か~ら~ 「バスケ部って、男子バスケ部じゃないですか。」 「そうだが、何か問題でもあるか?」 問題があるもないも、 「私、女ですけど。」 高城先輩はそんな事、というように、ガッハッハと笑った。 「君が女だとは誰も思わんよ。」 サラッと失礼な事言うな。 「そういう問題じゃないと思うんですけど。」 「そうかね。」 この人に正論は通じない。 「そろそろ部活が始まるな。」 高城先輩は腕時計をチラッと見た。 「まあ、考えておいてくれたまえ。」 絶対ないですって。 「また来るよ」 そう言うと、来た時と同じように、全速力で走り去って行った。 もう来るなよ。 一部始終を見ていた菖蒲が一言。 「桃ちゃんって、変態に好かれるわよね。」 あんたもだよ。
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加