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「今年の聖誕祭は盛り上がったね。」
「そうですわね。」
「・・・時に、菖蒲ちゃん。君はあの美女の正体を知っているのだろう?」
「えぇ、まぁ。それがどうかしまして?」
「実はちょっと困ったことになってね。」
「困ったこととは?」
「後藤がまた、見合い話を持ってきたんだが、それがちょっと断りにくい相手でね。」
後藤というのは城ヶ崎 鎮の秘書であり、城ヶ崎グループの未来の為にと、いつも城ヶ崎に縁談の話を持ってくる。
「その相手というのが、城ヶ崎グループの筆頭株主のご令嬢でね、断るとわが社の痛手にもなりかねない。なるべく相手を傷付けずに断りたい。」
「それで、謎の美女ですか。」
「あぁ、菖蒲ちゃんは察しが良くて助かる。彼女に恋人のふりをして欲しい。彼女ほどの美女なら、相手も諦めるだろう。」
「分かりました。私がなんとかしましょう。」
こうして、桃花の知らないところで密約が交わされた。
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