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一気に捲し立てたから喋り終えた後は荒い息遣いになった。
そんな私の肩に空君は両手を置き、引き寄せる。
抱き寄せた肩に彼は額を乗せて、小さくため息を吐いた。
「ありがと、里香ちゃん。そんなことを考えててくれたんだね」
「……当り前じゃない。空君は大切な人だもの」
言った後、頬が赤くなるのがわかる。
大人になってからの赤面は恥ずかしすぎるから、見られてなくてよかった。
そして空君は軽く笑い、私の首筋に顔を埋める。
「でも、気持ちだけもらっておくよ。俺は里香ちゃんに何かをしてもらいたいために会いに来たんじゃないから」
「空君……」
「もう一度そばにいたいから。だから会いに来ただけだから。だから、そんなふうに想ってもらえただけで、十分幸せだ」
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