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「そ……」
空君っと名前を呼ぼうとしたけれど、その声は塞がれた唇で音を無くした。
言葉として精一杯自分の想いは吐き出したのに、空君からのキスで全てを包み込まれてなかったことにされてしまう。
もっと聞きたいことも言いたいこともあったのに、それを許してくれない。
慎也とえっちゃんに裏切られて、それを忘れようと空君の存在を利用したあの時の私と同じくらい狡いな……っと心の中で思ってしまう。
それでも、空君のキスはいつだって心地よかった。
自分本位に攻めてくることはせず、いつだって私の様子を窺いながらしっとりと重ね合わせてくれる。
だからといってじれったいというわけでもない。
こういうふうにしてほしいって思いを全て叶えてくれる。
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