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相性がいいって空君みたいな人を言うのかな?
慎也の時は……
「里香ちゃん?」
突然、気持ちが入らなくなった私がすぐにわかった空君は、僅かな隙間を開けて私の顔色を窺う。
慎也を思い出した最悪な自分に嫌気がさした。
「ごめん」
短い謝罪で今の全てが伝わるわけがない。
でも空君はそんな私の背中に腕を回して、優しく抱きしめてくれた。
「ううん、こっちこそ食事中にごめんね。食べよっか。具材がダメになっちゃう」
「うん」
彼の細い身体を少しだけ強い力で抱きしめ、離れた。
向かい合って見た顔はいつものあの穏やかな空君の表情。
それを見ると、私の心は安らぎを覚える。
でも、やっぱりどこかで慎也の存在が私の中で見え隠れしているのは、もう誤魔化せないのかもしれない。
だけど、空君が何を隠しているのかも知りたいっというのも純粋な気持ちだ。
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