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「里香ちゃん、器の中身がなくなってるよ」
空君に声をかけられてハッと気が付いた。
彼の分は甲斐甲斐しくよそっていたのに、自分はまだロクに食べていなかったんだ。
「あっ、うん……食べるね」
よそよそしい態度になってしまう辺り、私も完全に納得していないことが彼に伝わっているだろう。
それでも平然としてるから、これ以上詮索をしてもきっと何も語ってくれない。
だから、最後に一言こう伝えた。
「いつか……」
「んっ?」
「いつか、私への壁がなくなったら教えてね。私、どんな話でも絶対に逃げたりしないし落胆もしないから」
彼を想う気持ちは友情でもなければ、確かな愛情でもない。
でも、大切な存在であるという気持ちは嘘ではないから。
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