救いの手

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嫌な予感の色が胸の奥底からじわじわと滲み出し、私の身体中を汚していく。 目の前には生まれたままの姿でベッドで抱き合っている私の彼氏と親友。 私の彼氏のはずなのに、なぜか親友を守ってるように見える姿勢で彼女である私に向かい合っている彼。 「な、何とか答えなさいよ。あんた達、何してたの?ここ、私の彼氏の慎也の部屋だよ? 今、自分達がどんなことをしでかしたかわかってる?」 「_____あぁ、わかってる」 今の今まで私の彼氏だと思っていた人は低く重い声を出しながら、その口からゆっくりと全てを吐き出した。 そしてつい先日まで私に愛を語っていた彼は、私に”絶望”という現実を突きつけ、耐えきれなくなった私は二人の前から飛び出した。 _____慎也は私を追ってこなかった。
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