救いの手

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「…………」 無言になって彼の顔を真正面から真っ直ぐに見つめた。 昼間に出会った時は纏っている雰囲気と顔のパーツに惹きつけられて、こんな人がまさか知り合いだとは思わなかったけれど…… 「思い出すのにはまだ、ちょっと時間がかるかな?だって十三年ぶりだもんね」 私の顔色を窺っている空気が彼からはなくなった。 自分が怪しい存在でないことに自信を持ち直したのか、私に一歩近づきこう言った。 「今晩、時間ある? もしよかったら食事でもどう?」 「少しでも危ない奴だと思ったら、トイレに行く振りでもして帰ってくれてもいいよ」っという条件付きで誘われてしまった私。 彼がどういう人なのか好奇心が出てきたのだと思う。 それに今からの時間をどうしようかと途方に暮れていた私は、素直に首を縦に頷いた。
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