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階段を上り終えると、小さな小屋のようなところに出た。
いくつか部屋があり、中には作業していた男達の寝床となっている。家を持っている者は家で寝るが、そうでないものはここで寝泊まりしている。仮眠なんかもするから、意外と数が多い。
元は何の建物だったのか。受付だったものの隣に椅子がありそこに一人の若い男がいる。
「お兄ちゃん早すぎ。伝えるのって大変なんだよ」
先程とは違う口調で少女が言う。
「やること無くてさ。あいつも速く行かないとキレるし」
申し訳なさそうに、男が笑う。
「先生でも少しくらい待ってくれるよ。喧嘩中のお兄ちゃんよりは」
「いや、悪かったって。もうあんな事ならない様にするから」
「お兄ちゃん嘘つきだから、どうかなー?」
困った顔で笑う兄に対し、妹はご立腹の様子。
「ほら、先生が建物壊す前に行こう?」
兄が手を差し出す。
「……うん」
仲良く手を繋ぎ外へ出る。
本日も快晴。妹はすぐ笑顔になった。
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