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「よーく見えるよ。隠してる子供も、外を歩く人も、時計の中の歯車とかも」
「そっちじゃねぇよ」
先生がわたしに指を向けてくる。
「その目で見えるかって聞いてんだよ」
あー、生まれつき付いてる。まぶたは上げれるけど。
「見えないよ。何も」
「……そうか、そうだよな」
こんなこと聞いて何だったんだろう。変なの。
「いや、お前宛に手紙が来ていてな。勝手に読むのもあれだし。文字までは見えないだろ?」
ほー
「そんなこと気にしてたの?」
「そんな事って」
「誰かに伝えてもらうしか私に見ることは出来ないし、それならお兄ちゃんか先生くらいにしか頼めないよ」
一応先生も信用してるよ?何回も会ってるし、悪いことはしてないように見えるもの。
「子供達に聞かれたらだめそう?」
先生は何か気にしているみたいだから聞いてみる。私はお兄ちゃんがいたら後はどうでもいいけど。
「勝手に読むのが悪いから読んでない。さっき言わなかったか?」
「あー」
そうだった?
「いいよ。先生一通り読んでみて、ダメそうだったら家で読もう」
「初めからバレットが読めばいいだろ」
「俺が読むと破る可能性があるんだ」
お兄ちゃんが読むとね、怒りに任せて破っちゃった事があるからね。読ませたくないのです
「まったく、この兄弟は……」
渋々といった感じで封を切る。中身は小さい紙1枚かな?
「バレット、この場所分かるか?」
「ん?」
先生がお兄ちゃんに紙?を見せてる。文字が読めたら楽なのに、まず見えないから覚えようにも……。
「あっ、あの泉の」
「え?」
泉って、あの女の子がいた?
「泉?お前らあんな所まで行ったことあるのかよ」
「なんだか呼ばれた気がしたんだ」
「頭も見た方がいいか?」
「そういうのじゃないよ先生。私らみたいに不思議な力があるんだって」
「ここ以外にもいんのかよ。人間に見つかったら危ないんじゃないか?」
「襲われた後だよ」
「もう、連れてこいよ」
うーん、怪我してたし連れてきたいけど。
「他の人に会いたくないんだってー」
「わがままめ」
「お前ほどじゃないだろ」
「化物ほどじゃないっつの」
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