ショバ代の現代事情

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彼の、物件取得費用を字幕で紹介。 字幕  物件取得費用……     10坪の家賃12万、     礼金・敷金など約100万円。     造作譲渡金100万。     看板や備品10万。     飲食の仕入れ値40万。     ――計:250万。 木村  「でも、終電までのディナー時間帯は      人通りが多いからチャンスはある」     「大事な顧客を作るには、      商品開発が最優先だ」 と、気を取り直した彼は 店を閉めた後、キッチンで料理を始めた。 木村  「まずは、お通しで出して、      試食してもらうことも大事だ」 そのとき、 入り口から岡元が大声で入ってきた。 岡元  「お~い」 オープンキッチンから 入り口が見えるため、木村は驚いて岡元に歩み寄った。 デブの岡元は、雪駄を履いて、 白いスエットの上下姿で、 上着の前の部分のチャックは開いていた。 胸から腹に彫られている刺青がもろに見えた。 木村  (未だに、昔のヤクザ映画のような      風体の組員がいるんだな) と、歩み寄りながら驚いた。 木村  「あのう、もう閉店ですけど」 岡元  「わかってるよ。お前が今度の店主か」     「焼酎を5本持ってきてやるから、      月に1万5千円で付き合え」 木村  (ショバ代の要求か) 木村はキッチンに戻ると、 店の固定電話で110番した。 岡元を避けるように背を向けて話した。 木村  「あのう、      ヤクザが店に来てるんですけど……」 時間の経過。
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