ショバ代の現代事情

5/9
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
字幕  一週間後――。 それから1週間、金田が『4回戦』に来店した。 木村  「いらっしゃいませ」 と、キッチンからホールへ顔を出すと、 オシボリをテーブルに着席した金田に渡した。 他には客はいなかった。 時間の経過。 普通に飲食していた金田が切り出した。 キッチンの木村に対し、 金田  「ちょっと、来てくれ」 料理をしていた木村は皿に盛りつけると、 その皿を持って、 テーブルに座る金田の向かい側に座った。 そして皿をテーブルに置いた。 金田  「お前、ボクシングやってたのか?」 と、店の壁に貼ってあるポスターを見ながら。 木村  「はい」 金田  「友達でボクシング関係者がいるから、      今度連れて来てやるよ」 木村  「本当ですか。ありがとう御座います」 そして金田は、 正面から木村を見据えた。 金田  「俺は、この地区の顔だから、      ヤクザとか客のトラブルがあったら      電話してきてくれ」 木村  「実は、開店したばかりのころに      地元のヤクザと思われる人が      ショバ代を取りに来て……」 金田は、おもむろに携帯を取り出すと、 顔写真と名前が写っている画面を木村に見せた。 金田  「こいつだろ」 木村  「あっ、そうです」 木村は頷くと、 金田はすぐにその岡元に電話した。 金田  「もう二度と来るな。      お前の連れにも言っとけ、わかったな」 携帯からは岡元の声が聞こえた。 岡元  「すいません、わかりました」 素直に木村は恩を感じた。 木村  (俺も東京に住んで30年になるけど、      この辺は知らなかったし、      頼りになるかもしれない)
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!