ショバ代の現代事情

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字幕  二ヵ月後――。 木村の店は行き詰まっていた。 店内はノーゲスト。 木村  「参ったな。最近は      めっきり客足が遠のいて……なぜだ?」     「そういえば……」 と、ある言葉を思い出した。 ある常連客に 「この店はヤクザが関わっているって、  みんな噂してるよ」 と、いわれたことがあった。 そして、金田が来店した。 金田  「またノーゲストかよ」 閑古鳥が鳴く店の状態に、 金田はキレたように怒鳴った。 金田  「お前、何やってんだ。      もっと味の研究しろよ。      それに今は大手の居酒屋でも      激安の280円でやってるんだから、      この店だったら100円とかで出せ」 木村  「そんなことを唐突にいわれても」     (狭い店だから人件費はかからないけど、      材料費の原価を考えたら、      とてもそんな料金では無理だ)     (それに、大手とは資本力が違うから、      当然同じコンセプトでは勝負できない) 金田は テーブル一杯に置かれた料理をすべて平らげて、 金田  「俺、今日は金がねぇからよ」 というと、 爪楊枝をくわえたまま、そそくさと帰ってしまった。 木村  「無銭かよ……結局、      ただ飯食らうのが目的だったんだな」     「今になって考えると、      最初にショバ代を取りに来た岡元に      金田が電話したのも、      出来レースだったんだな」     「それに、金田が出入りすることで      不穏当な噂(デマ)が流された」 もう我慢できなくなった木村は、 板橋署の山田氏に電話した。 開店当初、ヤクザが ショバ代を取りにきたときに対応してくれた山田氏。 山田  「ハイ、山田ですが」 いろいろ山田氏に話す木村は必死だった。 山田にしてみれば、 目を付けていた金田に対する一般人の苦情は、 当然取締りの対象になる。 携帯を内ポケットに仕舞った山田は決意した。 山田  「これを別件にして、      アイツを追い込んでやる」 時間の経過。
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