ショバ代の現代事情

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大山商店街――。 を闊歩する金田に、山田が話しかける。 山田  「無銭飲食の件で話がある」 山田は金田に任意同行を求めた。 金田  「任意同行か……別に構わんよ」     (どこの店だ!?) と、平静を装いつつ、内心はいきり立つ。 パトカーに乗る山田と金田。 板橋警察・取調室――。 山田は金田に対し、 本件の振り込め詐欺と薬の話を持ち出したが、 手馴れた金田は、 不敵に笑ったまま取り合おうとはしない。 山田  「振り込め詐欺と      薬について聞きたいことがある」 金田  「ん? 話が違うな」     「ここ、取調室の可視化はしてんの?       自白偏重の警察って      問題になってんじゃん」     「知り合いの弁護士呼んでもいいけど、      俺は無罪だから      オタクらに金を請求するよ」     「それに、どのチンピラが      告ったのか知らないけどさ、      そんなの      俺に恨みがあるヤツの出まかせだよ」 山田  (誰の供述が察しはついているのだろう) と、山田は推理した。 そして、山田は無銭飲食についても断罪した。 山田  「もう一つ、      四回戦の店で無銭飲食もしたらしいな」 金田  「ああ……      これから払いに行こうと思ってたの。      後から払いにいくって、      木村にも言ったんだけどね」 山田は苦慮した。 山田  (そんな言葉のやりとりなど、所詮は     「言った言わない」      の押し問答で決着はつかない)     (それに金田が払ってしまえば、      それで終わりだ) 精神的に袋小路に追いつめられた山田は 歯を食いしばったまま俯いた。 時間の経過。 逆に、少しイラついている金田は、 頭を掻きむしった。 金田  「もう、いい加減にしろよ」     「帰るからな」 と立ち上がると、 無言の山田を見下して取調室を後にした。 勢いよく閉められたドアの向こうから、 金田の高笑いが聞こえた。 山田は金田を、追い詰めることはできなかった。
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