ショバ代の現代事情

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金田が、 警察署の門の前に立っている警官Aに対して一言。 (警棒を携え、周囲を威嚇するA) 金田  「ねぇ、パトカーで      俺の部屋まで送ってよ」 しかし、Aは拒否した。 警官A 「卑しくも容疑者だったんだから、      それはできない。歩いて帰れ」 金田  「何言ってんだ、俺は冤罪だったんだぜ」 金田も、このときばかりは譲らない。 金田  「だいたい何でよ、      善良な市民を勝手にパクッといて……      俺のマンションは、ここから遠いんだ」 警官A 「私は今、公務を遂行しているんだから、      邪魔すると公務執行妨害になって      Uターンしてもらうぞ」 と、Aは北叟笑んだ。 さらにムキになる金田。 金田  「お前ら、      誰に飯を食わせてもらってんだ?       税金ドロボーめ」 互いに譲らない二人に、 署内から出てきたトレンチコートを着た刑事が 苦虫を噛み潰したように、 刑事  「送ってやれ、面倒くさいから」 そして、ニヤリとパトカーに 乗り込もうとする金田を睨みながら、 居酒屋店主・木村が刑事に駆け寄った。 木村  「おまわりさんッ」     「山田さんから携帯に      連絡が来たんですけど、      僕は金田さんが      後から払うなんて聞いてません」 すると、金田は 後部座席のサイドウインドウを開いて 木村を怒鳴った。 金田  「馬鹿野郎、お前は、      ボクシングで頭を打たれてっから      物忘れが酷いんだろ。      この、パンチドランカーが」 そして財布を取り出して、 金田  「この前の代金、今払ってやるからよ。      いくらだ?」 木村  「……5千円です」 金田  「不味かった割には高ぇな」 木村  「あれでも、      色々サービスしてるんですから」 金田は窓から1万円を投げ捨てた。 金田  「おら、釣りはいらねぇからよ」 木村は札を拾いながら、 パトカーで出る金田を渋々と睨みつけた。 金田  「お客様に対して、      その面はねぇだろ」 そして一転して、 ふてぶてしい笑顔になった金田は手を振りながら、 木村に再び毒づいた。 金田  「お見送り、ご苦労さんな」 歯軋りする木村。 そして、運転する警官に、 金田  「おい、安全運転しろよ」 しかし、山田が署から出て、 パトカーの後部まで駆け寄って叫んだ。
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