一章 逃亡。

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「俺だって乗り気じゃないがギルドマスターのお達しだ、仕方ないさ。さっさと終わらせようぜ」 アーダント側のギルドから叫び声が上がる。やつらからすれば戦闘が終わったと思った瞬間にこれだ。たまったもんじゃないだろう。 今度は皆容赦がない。背を向けて逃げる者には刃をたて、その命を奪っていく。 デトラが寝返ったところでいまだアーダント側が有利な状況に変わりはない。しかしファント側も拠点まで引いていたギルド員達が続々と戦場に戻ってくる。 情勢はすぐに引っくり返りそうだ。 「つーか、お前聞かされてなかったのかよ」 おそらくシャドウの性格を考えてのことだろう。こんな話聞かされた暁には戦闘に参加しないなんてことを言い出しそうだ。 「うるさい! とにかく反撃だ! 貴様との決着はまた今度つけてやるからな!」 そう吐き捨てるとシャドウは自分のギルド員達の元に戻っていく。あの様子だとしばらく引きずりそうだ。 ファントムのギルドマスターがシャドウの文句を聞いている姿を思い浮かべて思わず頬が緩む。 さーて、俺もそろそろ仕事しますかね。
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