一章 逃亡。

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ハンズの後ろから人が出てきた。見た目からして騎士団員だろう。 下水道出口付近にある盛り上がった丘から騎士団員が続々と姿を現す。 これを見ていよいよ疑念が確信に変わっていく。 どうやら嵌められたらしい。ラットの合図があったと同時にこの人数での待ち伏せ。どう考えても俺達の作戦がバレている。 本隊が負けたのか? 何があったんだ。 「……もう少しやらせてくれないか?」 「いけません。このままでは死にますよ?」 納得いかなさそうな表情をハンズが浮かべる。しかし騎士団員は気にしていない様子だ。 「構え! 下水道は破壊しても構わん!」 丘からでてきた騎士団員の集団が数人ごとに魔力を集中させている。 どうやら今の魔法もさっきの魔法も複合魔法だったようだ。 騎士団員達の魔法が一斉に発動した。 地響きが起こり、地面が激しく揺れ、エース達の目の前の地面が鋭く盛り上がった。 逃げ場は下水道内に入るしかない。仕方なくエース達は下水道内に入り魔法に対処した。 一点突破することもできただろうが、すでに待ち伏せをされていたことを考えるとさらに状況が悪化する可能性もある。 下水道内に入っても魔法の追撃は止まらない。次々と盛り上がっては破壊されるまでエース達をしつこく追い回す。 その一つ一つをフィナは魔法で、エースは剣で撃ち落としていく。 「っち!」 数十人による連続の複合魔法。これは非常に強力だ。 加えてさすがは騎士団員といったところで、連携も上手い。お互いの魔法が相殺しないようにきっちり合わせてきていた。 なんとか対処できているものの、このままでは埒が明かない。 「フィナ!」
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