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「りょーかい」
こんな時でも間延びした声。まったく緊張感のないやつだ。
しかし、それは自信の裏返し。まったく、心強い。思わず頬が緩む。
相手の魔法を一掃できる位置取りへとエースが移動する。
「雷の激嵐!」
一点で発生した電気の塊が分裂して一気に土の針を壊していった。そのすべてを壊しても魔法は止まらず、外にいる騎士団員達に向かって進んでいく。
騎士団員達から驚きの声が上がり、それぞれの部隊で防御魔法を発動させたようだ。
「逃げるぞ!」
その隙を逃さず、俺達は振り返って下水道内に入る。
「追え! なんとしても逃がすな!」
なんとか魔法を処理しきった騎士団が追って下水道内に入ってきた。
全員が風魔法を使用し、狭い空間の中を凄まじいスピードで移動する。
一分ほどの追跡で、すでに少しずつ差は開いていた。騎士団員達はエース達のスピードについていけていない。
入り組んだ下水道の中、視界は悪い。
騎士団側は炎の魔法で光源をつけているがエース達は付けておらず、追跡は一度見失えばエース達は逃げ切れるだろう。
一度通っている分、エース達がかなり有利だ。
もうすぐ落盤が起きた位置までくる。
「フィナ。頼む」
「おっけー」
落盤した場所はすでに地上の土は崩れている。あそこの土さえ処理すれば外に出られるだろうとエースは判断した。
しかし、目的地への最後の角を曲がった先に見たのは予想外の光景だった。
「フ、フランク……」
すぐに状況を察する。いたのはフランクだけじゃない。デトラの序列一桁のメンバーが勢ぞろいしていた。
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