一章 逃亡。

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副団長と思われる人物が魔力結晶を使って外の部隊へと連絡を入れる。 「くそっ! なんだ今のは!」 エース達を追いかけながらつい愚痴が溢れる。一瞬にして目の前から消えるなんて聞いたこともない魔法だ。 「確信はありませんけど、普通に考えれば固有魔法でしょう」 後ろから追いかけていたフランクが副団長に追いつき、話しかける。心なしか副団長の表情が曇った。 「奴らが魔人だということは聞いているんでしょう?  だったら尚更警戒しておいた方が良い。たぶんまだ奥の手は隠しているはずだ」 「……フン! 肝に銘じておくよ。忠告、感謝する」 その言葉を聞きフランクは移動の速度を上げる。すぐに姿が小さくなって行くフランクを見て、副団長は口の端を噛み締めた。 「ああ、それと」 前に出ていたフランクが速度を落とし、再び話しかける。 「推測ですが、あの移動方法は目に映る範囲だけでしかできないはずです」 「何?」 「普通に考えてそうでしょう? 自由に移動できるなら地上にでるはずだし、そうでないにしても俺達から見えるあんたらの後ろの位置に移動するなんて不自然だ。 いろいろ制限があるんでしょう。ま、あってるかどうかは知りませんけどね」 再びフランクが移動速度をあげる。今度こそ副団長との距離が再び縮まることはなかった。
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