二章 追撃。

8/42

141人が本棚に入れています
本棚に追加
/202ページ
最初からデトラに依頼した作戦は戦争の援護などではない。ファントが出した裏切りの依頼もすべて仕組まれたものだ。 序列一位と二位の抹殺、これがアーダントからデトラに出された依頼だったのだ。 私も詳しくは知らされていない。なぜあの魔人達が殺されようとしているのか、その理由は分からない。 だがそんなことはどうだって良い。任務を忠実にこなすことが私の使命なのだから。 「ラットからも再三言われているはずだ。他言するな、と。それでもまだ聞きたいか?」 ここまで言うとフランクは黙り込んだ。それを確認して胸ポケットに入れていた契約書を取り出す。 「詳しい情報と報酬、いつも通りここに書いてある。目を通しておいてくれ」 テーブルの上を滑らせてフランクの目の前まで紙は滑っていった。納得していない、そんな目だ。 きっとこいつは自分を被害者だと思っているのだろうな。 起こっていることが自分が思っていた未来と違った。ただそれだけのことだと言うのに。 ソファーから立ち上がり項垂れるフランクを横目に、扉を開け外に出た。 受付の横で椅子に座りコーヒーを飲んでいたラットがすぐに反応する。 「もう、終わったんで?」 「ああ、こっちは終わった。ラット、お前エリシアの捜査に使えそうな知り合いはいないか?」 「エ、エリシアですかい? いるにはいるんですが……」 そこまで言うとラットは口ごもった。あまり仲の良い知り合いではなさそうだな。 「信用はできるのか?」 「ええ、まぁそりゃあ、仕事に関しては問題ないと思いますが……」 「ならそれで良い。そいつにも捜査依頼を出したい。お前から連絡をとって私まで繋いでくれ。いいな?」 「いや、しかし国からの依頼となるとどうなるか……」
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加