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白い身体で、白い服を着せられて、白いお布団に寝そべっている、お母さん。
もう、目を開くこともなければ、口を利くこともできない。
――お母さん? どこに行っちゃったの?
ちいさい私は、その亡骸に問いかけるばかりだった。
真夜中も、いい時間だったと思う。
父親は、母の亡骸の元で、正座をしていて、動かなかった。
私は、ふ、と、お母さんの、布のかかっていないあたまの部分から、ひゅうと、糸のようなものが伸びるのを見た。
「あ、あ……」
私はそれを指さしてみるのだけれど、父親は、下唇を噛み締めているばかりで、その光の糸には気づかない。
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