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「ああ……疲れた」
昼休みの地学資料室は、もともと奥まった所にあるというのもあってすごく静かだ。
午後の授業の準備等で、たまーに先生が通りかかるくらいで、生徒が姿を現すことは皆無に等しかった。
瑛子は入るやいなや思い切り暗幕を閉めきった。
そこは一瞬で闇に包まれて、本当に静寂そのもの。
適当にその辺の地面に体育座りをすると、朝とは違う、今度は安堵の深呼吸をした。
先生に頼まれた資料の整理をするという名目で、クラスメイトと昼食をとったあとはすぐさまこの場所に来る事が瑛子の日課だ。
「またやらかした」
寝坊して一本電車を逃したこと、やっぱり気づかれたか。
いつも同じ時間に登校しないなんて、きっとルーズな人間に思われた。
相変わらず筋肉が強張って笑顔もぎこちないし、男子なんかちょっと引いた目してたわ。
昨日のドラマだってホントは観てないから、返答に困ってしまった。あれは盲点だった。BSだし。かなりの空返事。
絶対適当って思われた。
数学の課題も上手く教えることができなかったし。教えるとか、無理よ。自分が解くだけでもいっぱいいっぱいだったのにさ。
ちよっと素っ気なかったかな?むしろ嫌われてないかな?
「どうしよう……嫌われたくない……」
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