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稲妻に撃たれたかのような衝撃に瑛子は固まった。
何を言っているんだこの人は。
“俺の女に”?ということは男女の交際か。
何度も告白を受けてきた彼女だが、自信のなさ故に恋もしたことがなかったし、まして付き合うなんてあり得ない。
だけどこの男の言う事を聞かなければ、間違いなく皆から白い目で見られる。
究極の選択に、遂に腹を決めると、
「はい」
「なーんてね」
彼は今度は屈託のない笑顔で笑った。
「いっぺん言ってみたかったんだよね。そういう台詞。少女マンガとかでよくあるじゃん」
「は?」
「言わないよ、誰にも。だから安心しな」
そう言って、彼は背を向けて手を振り去っていった。
「あ……何……?」
何が起きたのか整理する気力も残っておらず、脱け殻状態で倒れこんだ。
「水無月さん!?大丈夫!?」
通りかかった地学の先生に介抱され、その日はそのまま早退することに。
お弁当を食べるだけ食べて帰ったやつというふうに思われるのが辛かったが、やむを得ない。
家に帰ってからも、彼が今頃クラスの皆にバラしているのではないかと、気が気でなかった。
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