レンズの魔法がとける時

10/11
前へ
/13ページ
次へ
「やーっと言ったか!おせぇーよ!!いつまで待たせんの?! 花言葉に気づかねぇ花屋がどこにいんだよ!!花屋なめんな!!」 え、と。あの。どちら様ですか…… 「え。お、男?!!」 「どっからどう見ても男だろ?」 「いやいや!見えませんて!! ……だって店長が妹って、言ってた、し!!」 「あー。それウソ。この見てくれで黙ってれば看板娘になるだろうってさ。ただの客引き用。」 そう言って彼女……もとい彼は、あのべっこう飴色の丸眼鏡を外した。 「……対人恐怖症……って。」 「ないない!こんな声出したら一発でバレるって。一線引いたの!」 君にはバレなかったけど。と、外した眼鏡の柄で差されながら言われた。それをそのまま俺へとかけられる。 あ。なんだ、伊達メガネだったのか。 「で。君は渡す事も出来ない花を毎日のように買うほど俺が好きだ、と。」 いや。毎日じゃないし。 「わざわざ花言葉まで調べて。」 それは……調べたけど。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加