レンズの魔法がとける時

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いつもの帰り道。 いつもの交差点。 右へ曲がれば駅はもう目の前。 だけど俺はそこを左へと曲がる。 ……彼女に会うために。 目指す場所は曲がった先のとある店。 店先からはほのかに甘い香り。 この不思議と安らぐ優しい香りの正体は…… 「お。いらっしゃい!」 大きな荷物を抱えて出てきたのはこの店の店主。 色とりどりの花束の隙間から、これまた似合わぬガテン系の顔を覗かせた。 「今日も買ってくか?」 ここは花屋。 “FLOVIS(フラヴィス)”が俺の目的地。 あの優しい香りはもちろん花の香り。 このガテン系の店長とあともうひとり、二人できりもりしているナチュラルテイストの花屋だ。 俺が足しげく通う理由は、そのもうひとりのほうで。
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