レンズの魔法がとける時

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花の意味には気づいてもらえても、やっぱりその真意は伝わらないか。 だよな。 だってそれを贈っているわけじゃない。 ただ、花屋で花を買っているだけ。そりゃもう至極普通の事だ。 それからこちらもどうぞ。とピンクのリボンが結ばれた小さな袋も渡された。 「今日はバレンタインですからね。男性のお客様にお配りしてました。」 バレンタイン? チョコレー、ト?? やべ!義理ってわかってても嬉しい!!! 「あ、あの!!」 意を決して声を掛かけてみた。 はい。なんでしょう?と彼女は視線を合わせてくれる。 「あ、あの!コレ!!どうぞ!!!」 「え?俺に?!」 受け取ったばかりのブーゲンビリアを彼女へ、と……ん?? 俺に?? 違和感に気づき、恥ずかしくて下げていた頭を思い切り上げた。 見上げた先で彼女……が、ニヤリと妖艶に笑っている。
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