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「お館様、和貴様。準備、整いました」
「ご苦労様です。わかりました」
車椅子を器用に操り、一人の壮年の男が若い青年に近づいた。
身軽そうな服装をした青年が。
鳥籠を車椅子の男――青年が和貴と呼んだ男に手渡す。
受け取った和貴はいとしそうな目を向けながら、籠から一羽の鳩を取り出した。
「どうか……私の願いを彼らに届けてください。この闇深き世界に……光を!!」
言葉と同時に鳩が羽ばたく。
天空の彼方に行く鳩をまぶしそうに見つめながら、和貴は祈るのだ。
どうか。
どうか、世界に光を……と――
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