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「……おい」
「なんでござるか、マチルダ殿。マッチーよ」
「なんでござるかじゃない!! この……ニートザムライがぁぁ!!」
「いや、ニートはマッチーも一緒だ。基本的に私達は無職だからな」
「威張るんじゃない!! て言うか、状況わかってる!? ユウさん!!」
誰も居ない――否、三人の男女以外は誰も居ない渓谷に、女性の絶叫がこだまする。
「あぁぁぁ!! もう!! だから嫌だったのよ!! ユウさんにナビゲーションさせるの!!」
女性はなおも叫ぶ。
女性の出で立ちは――奇抜を通り越して、奇妙な出で立ちをしていた。
黒喪服を我流に着崩し、マントを羽織り。
派手な化粧に、長い髪を一つにまとめ――
その腰には、二本の刀――
奇妙としか言い様のない出で立ち――
「そうは言っても……。そもそも、方向音痴の拙者にナビゲーションをさせようと言ったのは、お主たちでござろうが。拙者は悪くないでごさるよ」
ユウと呼ばれた男がのほほんと答える。
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