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こちらの格好は、煮しめたような色をしている着物ということ以外は、比較的まともな格好をしている。
あくまでも。
マチルダという女の格好が基準ではあるが――。
「そうよ!! だいたい、なんでユウさんにナビゲーションやらせようって話になったのって言うか……チーちゃん!! 千冬ちん!!」
マチルダがくるっと後ろを振り向くと――
「なんじゃらほい」
「なんじゃらほいじゃなくて!! チーちゃんでしょ!! たまにはユウさんにナビゲーションやらせてみようって言ったの!!」
「言ったね」
「言ったねじゃない!! おかげで迷子だよ!! 私達!! これ、多分!! 一つ曲がり角!! 一つ間違えて!! 迷い道くねくね!!」
「おお、渡辺マチ子だっけ? マッチー、年齢バレるよ」
千冬と呼ばれた女性があははと笑う。
こちらの女性も相当に歌舞いた格好をしていた。
振り袖を粋に着崩した――男装の麗人――
そんな雰囲気を醸し出していた。
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