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「というか、相変わらずマッチーはうまいでござるな。マチルダとマチ子をかけたのであろう?」
今度はユウがあははと笑う。
ブチりと。
マチルダの血管がキレたような音が聞こえた気がした。
「笑い事じゃねぇよ、なあ? ユウさんよ? このままだと和貴のオッサンが送ってきた地図の村に着くどころか……西部劇に出てくるような、荒野の渓谷で野垂れ死にだよ? 私達?」
煮しめた色の着物を胸ぐらから掴み、マチルダがユウを睨み付ける。
「ちょっと、落ちつきなよ。マッチー」
千冬がマチルダの肩を掴んで、宥める。
「だいたい、毎度のことながら、和貴さんの地図も不親切極まりないのよね~」
千冬が地図をかざし――
「線と点と地蔵峠って文字だけで、村にたどり着けって、あーた……ウルトラクイズじゃないんだから……」
「私達以外に知られないようにでしょ」
マチルダがため息を吐く。
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