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「……あ、あの、今日今からとかシェアハウス行ってもいいですか?」
〈今日?
全然良いわよ
でもどうしたの?〉
「荷物を取りに行こうかと思って」
〈そんなの1週間先でも1ヶ月先でもいいのに〉
クスッと笑う声が耳に届く。
なんでみんなそんなに心が広いんだろう。
なんでそんなに余裕なんだろう。
なんでそんなに優しいんだろう。
高城と愉快な仲間たちを見ていると、とても苦しくなる。
多分これが『普通』であり『正常』なんだと思ってしまうから。
朝をみんなで迎えて、楽しくダイニングテーブルを囲む。
みんなで作品を作り上げ、評価に一喜一憂する。
一日中ファッションの話をして、高みを目指そうとしている。
こうやって一日だけでも離れてみると嫌でも考えさせられる。
私は高城と愉快な仲間に入った異物だということを。
それは純くんを見捨て純くんの気持ちを踏みにじった時に感じるべきだったのかもしれない。
自分本位な私とケイさん。
自分の幸せを選び、自分の気持ちでいっぱいいっぱいだった私はケイさんに負けないぐらい自分勝手だ。
「……今日、今から取りに行かせて下さい」
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