世界が彼を見つけた

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* 「ねぇ、菜緒ちゃん」 お昼休み。 おにぎり一個だけ持っている私を誰かが呼び止める。 最近、この子に好かれているみたいだ。 「何?」 「……ごはんそれだけ?」 遠慮気味に訊いてきたその子は、心配そうな顔をした。 私の手の中にある小さなおにぎりをチラリと見る。 私は、小さく笑ってそれを電子レンジに入れた。 「うん、これだけ」 「もっと食べた方がいいよ 菜緒ちゃん細すぎるし……貧血とか起こしても大変だよ」 本当はもうちょっと食べたいんだ。 でも、食べても結局吐かなきゃ。 ケイさん好みの体型にならないとだから。 太るとすぐバレちゃう。 その時、スマートフォンが振動した。 急いでメールを確認すると、液晶画面には 《いつもの時間にいつもの場所》 その文字。 相変わらず、人使いの荒い人。 「彼氏?」 その問い掛けに吹き出してしまう。 「違うよ バイト先の人」 「……そこって、給料いいの?」 「どうして?」 「ほら菜緒ちゃん いつも良い服着てるじゃん そりゃさ、私たち服飾関係の仕事目指してここにいるけどさ ……菜緒ちゃんの服、高そう」 そっか。 別にブランド品じゃないけど、服飾目指しているから値段は推測出来るよね。 今度からもうちょっと安いところで買おう。 お金は、ケイさんとの契約で普通の人よりは貰っていると思う。 “お金はあげるから、他の仕事はしないで” ケイさんの言葉を思い出した。
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