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「龍児さん。金司馬家家訓37条は?」
扉を開けた僕を出迎えたのは、無表情の母様。
「……門限は、午後5時です」
「4秒過ぎました。従って、アナタは家訓を破りました」
その手には、鞭。
ズキズキズキズキ
「うぐ……うあああっ!」
まだ何もされていないのに、臀部に激痛が走る。
「貴方をどこに出しても恥ずかしくない立派な大人にしてくれと貴方の父様と約束したのです。それなのにこのような不良行為を許してしまってはあの人に顔向けできません!」
ガタガタと肩の震えが止まらないでいると、飛鳥井さんが前に出た。
「おばさん! 遅れたのは舞羽のせいなの! だから今日のところは許してあげて!」
「……誰ですか、貴女」
「飛鳥井舞羽! 龍児の友達だよ!」
ただ一緒に夕日を見ただけですのに……。友達、なってくれたのですか。
「友達? 母様はまだ紹介されていませんよ?」
! ま、まずい……また家訓を……。
いや、今となってはもう手遅れだ。僕はもう、あの鞭から逃れる術は無い……。
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