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「……いつかは、こうなると思っていました。ただ、思ったより早く来たので驚きましたけど」
母さんはそう言って、僅かに微笑んだ。
「『与えられたルールを打ち破った瞬間、お前の人生は始まる。逞しく自由に生きろ』。これはあの人……貴方の父様の遺言です」
……父さんの、遺言?
「じゃあ母さんは、父さんに言われて百の家訓で俺を戒めていたと?」
途端に母さんは顔を伏せ泣き崩れてしまった。
「ごめんなさい……私は貴方の大切な10年を、奪ってしまった……。本当に、ごめんなさぃ……」
そんな母さんの肩に、俺はそっと手を添えた。
「母さん、顔を上げてくれ。俺は決して人生を奪われたとは思っていない。母さんから教わった事は、これからも俺の中でずっと生き続ける。今まで大切に育ててくれてありがとう」
「龍、児……」
涙に暮れる母さんを慰めた後、俺は隣でにやける飛鳥井さんに視線を移した。
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