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「ありがとうございました。飛鳥井さん。貴女のお陰で僕はもっと僕らしく生きられそうです」
「あれえ? “僕”に戻ってるよーっ?」
……やはり当分はデフォルトのままみたいだ。まあ、無理をせず少しずつ変わっていけばいい。
「私からも礼を申し上げます。飛鳥井さん、どうかこれからも龍児坊ちゃんの友達でいて下さい」
古守の申し出に対し、飛鳥井さんはプイとそっぽを向いて答えた。
「んー、ヤダ。もう友達期間はおーしまい」
期間……おしまい……。
そうか……ですよね。友達は強要されたり義理でなるより、自由に選びたいですよね。
飛鳥井さん、全く貴女はどこまでも自由な人だ。
フッと息をつくと、突然首に腕が巻き付いた。
直後、唇に柔らかな物が押し付けられる。と、認識した時には、飛鳥井さんのやや桃色に染まった笑顔が至近距離にあった。
「舞羽、龍児のこと大好きになっちゃった! だからこれからは舞羽、龍児の“恋人”になりまーす!」
全身の力が抜け、ドッとへたり込む。
ようやく人生初の接吻をされたのだと理解した時には、僕の心は天へと昇っていた。
……は、はは……飛鳥井さん……。相手の同意は無視ですか。いくら何でも、自由過ぎますよ……。
どうやら僕は、これからも束縛され続けるみたいです。
<おしまい>
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