第1章

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それはまだA氏が小学生の低学年だった頃の話。 物心ついた時から野球が大好きで、自分が応援しているチームが試合に勝つとはしゃぎ回って大喜びし、逆に負けると悔しくて大泣きする子供だった。 やがて小学生になり、父親からグローブとボールを買ってもらうと、A氏はマウンドの上で大活躍する憧れの選手と同じプロ野球選手に絶対になる。 という夢を抱き早速練習を始める。 がしかし現実は、幼かったA氏に対して余りにも残酷だった。 A氏は肩が弱かった。 日常生活に支障をきたす事はないし、野球にしろ気長にそして根気よく練習を積み重ねていれば、そこそこの草野球選手にはなれるだろうが…… 少なくともA氏が夢見ていた剛速球を投げて大活躍する選手としてはおろか、プロ野球選手にも100%なれない事は練習を始めて半年も経たずはっきりと解ってしまう。 だが子供だったA氏はその現実がどうしても受け入れる事は出来なかった…故に願ってしまった。
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