かぎり

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 真夜中    海辺  蓋い尽くす星、星、星  波の音  打ち寄せ、帰る  囁きながら、歌いながら  太古から続く  繰り返し、繰り返し  繰り返し続く  続く、続く  波打ち際で裸足になり  そして全てを脱ぎ捨て  海に向う  星に向う  痛みにも似た  波の冷たさ、風の冷たさ  私が今ここに  在るということを  教えてくれる  今、石の陰に隠れた精霊達よ  教えておくれ  私がここに来ることを  知っていたのか?  私がここに来ることは  決まっていたのか?  限りなく透明で  限りなく薄い  ガラスの器に波を掬う  蓋い尽くす星、星、星  囁きながら、歌いながら  やがて器は朽ち  水は零れ  海へと帰って行った    ガラスの器は、私の体  掬った水は、私の心    
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