政変

38/51
前へ
/250ページ
次へ
「さすがは、元藩士様だな。  こちらも負けねえように、諸士監察の役を強化せねばならんよ。近藤先生」  俺達は呼び出しをくらう前にと、中立売にある守護職邸に急いだ。  そう、大和屋は守護職邸の近くであった。  とにかく頭を下げ、みっともなくも弁明をするしかなかった。 「とんでもない事をしでかしてくれたの。  が、しかしこの書状は有難い。  大和屋が幕府の役所と組んで、不相応な交易をしておったという証拠はこれで隠滅できるわ。  何、我らの報告には、襲撃したのはただの浪士としておこう」  公用方の外島殿は、寛大なお言葉をかけて下さった。 「しかしながら、その事をどこから拾ってきたのかが問題でござるな。  近藤君、芹沢らの周辺を探る必要があるやも知れぬぞ。  どちらにせよ、今後このような騒ぎを起こせば、厳罰もあり得ると肝に銘じよ」 「はっ」
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加