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あの焼き討ちはミブロの局長の仕業やて、瓦版に書いてあった。
「も、て、また何かされたんですか?」
沖田さんは店の端っこに腰を下ろした。
いつになく、元気が無かった。
「角屋でさ、暴れて店を閉めさせたんだよ……
店は壊すし、仲居さん達には乱暴するし、芹沢先生どうしちゃったんだろう。
あれじゃ、お梅さんも可哀想だよ」
「お梅さん! やっぱりそっちに居るんか?」
思わず沖田さんの羽織を掴んだ。
「いつの間にか、一緒に住んでたぜ。知らなかったのかい?」
「知らんわ。こないだの火事の時から居らへんなった……」
沖田さんの羽織を握りしめたまま、俯いた。
「泣くなよ、どうしようもないからさ。
また何かあったら知らせるよ。しばらく忙しくなりそうなんだ。
暇になったら、剣術の稽古しよう」
そう言って、沖田さんは帰って行った。
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