政変

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 ――嫌な話だった。 「永倉君は芹沢氏と同門だと窺っているからね」  そう前置きされた。  今回は外島殿だけではなく、家老の田中殿も居られた。 「今度の騒ぎ、まだ肥後守様の耳には届けておらぬが、おぬしらの評判は落ちるばかりじゃ。  我が藩も財政が苦しい。おぬしらを我が守護職の正式な局とするには、それなりに軍資金も必要になる。資金を使うに、相応しい局でなければならんのだ。  わかるか近藤。  そろそろ潮時であるまいか?」 「は、ははあ!」  近藤さんは頭を擦りつけた。  田中殿は言外に、〈京都守護職のお抱えとなるには、芹沢の排斥が条件だ〉と滲ませた。  沖田など、泣きそうな顔をしている。
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