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十八日夜更け、会津からの使いが来て、『蛤御門から禁裏御所内に至り、守りを固めよ』との下知を伝えた。
その旨を芹沢局長に報せた途端、奴はてきぱきと皆に指図をして回った。
日ごろから揃えていた馬を前川邸に集め、隊列を組む。
平山さんや新見が、皆に得物を持たせ、隊伍を整えた。
要領の分からぬ近藤さんは、それを馬上から眺めているだけだ。
偉そうな顔つきで、威を張って見せてはいるが、内心は心許ないにちげえねえ。
俺がそうだからさ。
だが俺はじっと芹沢のすることを観察した。
一つと見落とさぬよう、隊列の組み方、武具の扱い、服装、そして奴の仕草に至るまで、全て覚えておこうと目を凝らした。
――次の戦には、あんたはここに居ねえのだからな……。これが最初で最後の軍事指南となる。
「いざ!」
闇夜に芹沢局長の声は朗々と響き、我々を導いたのだ。
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