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俺は慌ててお梅さんの後を追った。
追いつくなり、腕を掴み引き寄せる。
「なんで、なんで行くんや!
芹沢先生が、そないええんか!」
「うちは、もう自分をよう止めやん」
お梅さんが泣いていた。
「いっぺん落ちてしもたら、もう上は見えへんのどす。
ほかに何もいらへん。あのお人との時間だけが欲しんどす」
俺はなんでか悔しゅうて、男のくせに涙をぽろぽろ流した。
二人泣きながら、壬生までの道を黙って歩いた。
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