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そのお蔭で無事、御門を通り、御所内南側の警固に着いたわけだが、それを永倉は散々褒めちぎった。
あまりの褒めように、試衛館の皆は、白けた目で見ておったがな。
「俺達は、芹沢局長の勇姿を見た。
だから次こそは、近藤先生があの場所に立つんだ」
「本当にやるのか?」
近藤さんが芹沢を、男として尊敬しているのは知っている。だが、それとこれとは別だ。
「京都守護職の御預かりとなるための踏み絵を覚えているかい?」
謎かけのような問いを投げた。
「わからん」
「清河の暗殺だ。
攘夷の意志を持つ同志を芹沢局長が殺せるかどうか。あれは、芹沢局長への踏み絵だったのさ。
あの時、俺達は失敗した。
思えば会津はあの時から、芹沢局長を信用していなかったのかも知れんな。
だから隊士を増やしても、上書を提出しても、上様の警固に就いても、局として認められなかったのさ」
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