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壬生浪士組の名を頂戴したものの、未だまともな給金すら貰えていない。たまの報奨金がわずかに貰えるだけだ。
「つまり、芹沢先生の粛清は、」
「そうだ。俺達の踏み絵さ。失敗は許されん」
近藤さんは腕を組み、天井を仰いだ。
「あんたは、じっとしていればいい。俺が何もかも画策してやるさ。
近藤先生は局長として、正しく、堂々としておいてくれ」
御所の騒動から明けて三日後、出動の労を認められ、浪士組は正式に昼夜の市中見廻りの任を仰せつかった。と同時に、その軍資金、隊士への給金が支払われることとなったのだ。
「思ったより早く認められたな」
会津の本陣、黒谷金戒光明寺からの帰り道、馬上の近藤さんは機嫌が良かった。
「長州を追っ払ったせいで、その他の攘夷志士どもの動きが激しくなったからだよ。会津藩士ではもう、奴らを抑えきれんからさ。
芹沢さんの件が無くなったわけじゃねえよ」
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